STORY
雷が落ちた。
どうにかしてくれないか?
朝8時半、皆が始業の準備をしている松本電機産業に緊急の電話が鳴った。
相手は付き合いの長い電気工事屋さんだった。
「30分前、工場のキュービクルに雷が直撃し、停電中です。今すぐ修復対応ができないか?」という連絡だった。落雷があったのは、これまで取引はしたことのない県外の機械部品メーカーの工場。現場で多くの人が困っている顔が、脳裏に浮かんだ。
二つ返事で引き受けた。
社内全員で情報を共有し、現場に向かうA班、必要な部品を調達するB班に分かれて作業を開始することが決まった。
A班は現場に急行し、状況を会社に連絡する。
雷が直撃したキュービクルは、高圧真空遮断器が黒焦げになり、その影響で工場内の全てが停電していた。工場が停止すれば、それだけ大きな損失を生むことは明白だ。全員が「1分1秒でも早く復旧させなければ」との強い思いで作業を進めた。